題名: "2026年「台風マリー」は東部北太平洋のハリケーン、気象庁の台風番号に含まれず9月8日終息"
2026年「台風マリー」は東部北太平洋のハリケーン、気象庁の台風番号に含まれず9月8日終息
2026年のマリーは、北西太平洋や南シナ海で発生した台風ではなく、東部北太平洋で活動したハリケーンである。米国立ハリケーンセンター(NHC)の記録では、9月5日03時(協定世界時)に最大風速85ノット(約44m/s)、中心気圧967hPaを記録した。9月8日には深い対流が失われ、最大風速35ノット(約18m/s)のポスト・トロピカル・サイクロンへ移行した。気象庁の2026年台風位置表にはマリーの名称はなく、9月9日現在の台風発生数は24個だった。
Japan Meteorological Agency
東部北太平洋で始まった8日間、マリーが日本の台風番号に入らない理由
マリーは9月1日から8日まで東部北太平洋で活動し、最盛期に85ノットまで発達したため、気象庁の台風統計とは別の海域・分類体系で記録された。 米国立ハリケーンセンターの資料では、マリーは2026年東部北太平洋シーズンの13番目の命名熱帯低気圧で、識別番号は「EP132026」とされている。活動期間は9月1日から8日、最盛期の最大風速は85ノット、最低中心気圧は967hPaだった。
日本の気象情報でいう「台風」は、北西太平洋または南シナ海に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が約17m/s以上になったものを指す。一方、米国立ハリケーンセンターが担当する東部北太平洋では、熱帯低気圧を熱帯低気圧、熱帯暴風雨、ハリケーンなどに分類する。同じ「熱帯低気圧」でも、海域と担当機関が異なれば分類体系も異なる。
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| 観測項目 | 2026年マリー |
| 活動海域 | 東部北太平洋 |
| 活動期間 | 9月1日〜9月8日 |
| 米国立ハリケーンセンターの識別番号 | EP132026 |
| 最盛期の最大風速 | 85ノット(約44m/s) |
| 最低中心気圧 | 967hPa |
| 9月5日03時UTCの中心位置 | 北緯20.8度・西経119.0度 |
| 9月8日03時UTCの中心位置 | 北緯25.1度・西経125.9度 |
| 9月8日15時UTCの最大風速 | 35ノット(約18m/s) |
| 日本への上陸 | なし |
9月4日03時UTCのマリーは北緯19.6度・西経116.3度付近にあり、最大風速85ノットだった。翌5日03時UTCには北緯20.8度・西経119.0度へ移動し、中心気圧は967hPaまで低下した。この時点では眼を伴うハリケーン構造が維持され、最大風速85ノット、最大瞬間風速105ノットが解析されている。
一方、気象庁の2026年台風位置表では、9月9日現在の最新台風は第24号で、台風第24号は日本付近へ接近した台風として掲載されている。2026年の台風発生数は9月9日現在で24個、年間の速報値として記録されている。
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フィリピンでも事情は同じだ。フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)が公表する2026年の国内熱帯低気圧名簿にはマリーの名称がなく、同局の北西太平洋に関する命名表にもマリーは掲載されていない。したがって、フィリピン国内の熱帯低気圧警報で使われる名称と、東部北太平洋で米国立ハリケーンセンターが使用した「Marie」は別の命名体系に属する。
日本、中国、フィリピン沿岸の防災情報を調べる場合も、名称だけで判断すると誤認につながる。中心位置が北緯20度台、西経110〜120度台を移動したマリーと、東経130度前後から日本列島へ向かう北西太平洋の台風では、観測海域そのものが異なるからだ。
9月5日のピークから弱化へ、乾燥空気と鉛直シアーが対流組織を崩した48時間
マリーは9月5日03時UTCの85ノットから、9月8日15時UTCの35ノットまで低下し、3日余りで最大風速が50ノット減少した。 最盛期の直前には発達した対流と明瞭な眼が確認されていたが、9月4日にはすでに中心周辺へ乾燥空気が入り始め、深い対流の一部が弱まっていた。
9月4日の解析では、マリーの最大風速は85ノットに維持されていたものの、衛星観測からは中心西側に広がる乾燥空気が確認された。米国立ハリケーンセンターは、乾燥空気が中心付近へ入り込むことで、それまで眼の北側と東側に集中していた強い対流が弱まっていると解析している。
その後、海面水温も弱化に有利な条件へ変化した。9月4日夜の解析では、マリーが今後48時間以内に26℃未満の海域へ進み、中層相対湿度も50%未満になると評価されていた。さらに時間が進むにつれて、中心周辺の深い対流が縮小し、熱帯低気圧の中心を覆っていた雲域も崩れていった。
9月5日12時UTCには最大風速80ノット、9月6日00時UTCには70ノット、同日12時UTCには65ノットという予報値が示されていた。9月7日00時UTCには60ノットまで低下する見通しで、発達期の85ノットから段階的な弱化へ移っていたことが分かる。
実際の弱化も明瞭だった。9月8日03時UTCには中心が北緯25.1度・西経125.9度、最大風速45ノット、中心気圧994hPaとなった。この時点でマリーはまだ熱帯暴風雨だったが、深い対流は南東象限に限られ、衛星画像では低層中心が露出し始めていた。
同日09時UTCには最大風速40ノット、中心気圧996hPaまで低下した。衛星画像で確認された深い対流はさらに小さくなり、散乱計による観測では約35ノットの風が残っていたものの、熱帯低気圧としての構造は終盤に入っていた。
そして15時UTC、米国立ハリケーンセンターはマリーをポスト・トロピカル・サイクロンへ分類した。中心は北緯25.8度・西経127.4度、最大風速は35ノット、約18m/sだった。分類変更の直接的な理由は、深い対流が失われたことにある。
ここでいうポスト・トロピカル・サイクロンは、気象庁が用いる「温帯低気圧化」と同義ではない。米国立ハリケーンセンターでは、熱帯低気圧としての深い対流などを失った後の低気圧をポスト・トロピカルとして分類する。一方、気象庁の温帯低気圧化は、前線帯との関係などを含めて温帯低気圧へ構造が変化した場合に用いられるため、両者の判定基準をそのまま置き換えることはできない。
マリーの弱化は、海面水温の低下、乾燥空気の流入、鉛直シアーの増大という複数の要因が段階的に作用した結果である。9月4日時点では85ノットを維持していたが、9月8日には35ノットとなり、4日間で50ノットの差が生じた。気象衛星による雲域の変化と中心位置の変化も、この強度低下と一致している。
西北西から北西へ進路転換、上空の低気圧と高気圧配置がマリーの進路を決めた
マリーは9月4日の西北西進から9月5日以降に北西寄りへ転じ、9月8日15時UTCには北緯25.8度・西経127.4度へ達した。 9月4日03時UTCの初期進行方向は約295度、速度は8ノットで、中層高気圧の南西側に沿って西北西へ進んでいた。米国立ハリケーンセンターは、米国西岸へ接近する上空のトラフによって、36時間ほど後に進路が北西寄りへ変化すると解析していた。
9月4日夜には進行方向が約305度、速度7ノットとなり、北西成分が強まった。9月5日15時UTCには約310度、8ノットで北西へ進んでおり、中心位置は北緯21.8度・西経120.4度だった。最大風速は80ノット、中心気圧は970hPaで、進路の転換と強度低下が同時に進んでいた。
この進路変化には、マリーを取り囲む中層の気圧場が関係していた。西側と東側の高気圧帯の間を進む一方、米国西岸付近へ近づく上空のトラフが循環場を変化させ、マリーは西北西から北西へ向きを変えた。NHCの予報でも、上空のトラフと周辺の高気圧配置の間を進む経路が一貫して示されていた。
9月7日夜の解析では、マリーは約290度、7ノットで西北西へ進んでいた。北西側の切離低気圧と、米国南西部から西へ伸びる高気圧の間に入ることで、その後さらに北西方向へ転じる進路が示された。この段階では最大風速45ノットまで低下し、深い対流も南東象限に限られていた。
9月8日03時UTCには、中心は北緯25.1度・西経125.9度、最大風速45ノット、中心気圧994hPaだった。NHCの同時刻の予報では、同日12時UTCに北緯25.8度・西経126.9度、最大風速40ノット、翌9日00時UTCには北緯27.2度・西経127.9度でポスト・トロピカルへ移行する経路が示されていた。
一方、実際の最終段階では移動速度が大きく変わらないまま北西方向への成分が続いた。9月8日15時UTCの位置は北緯25.8度・西経127.4度、最大風速35ノットで、米国立ハリケーンセンターは深い対流の消失を確認してポスト・トロピカル・サイクロンへ分類した。
東アジアの防災記録と照合する際には、気象庁とフィリピン大気地球物理天文局の資料が基準になる。気象庁の2026年台風位置表では9月9日現在の最新台風が第24号として掲載され、年間発生数は24個、日本への接近は9個、上陸は2個だった。フィリピン大気地球物理天文局の2026年国内命名表にもマリーはなく、同局の北西太平洋向け命名表では日本名、中国名、フィリピン名などが別々に定められている。
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公式資料との照合で確認された事実関係
9月8日15時UTCのマリーは最大風速35ノット、中心位置は北緯25.8度・西経127.4度で、東アジア沿岸へ進む北西太平洋台風の位置にはなかった。 この時点で米国立ハリケーンセンターは深い対流の消失を理由にポスト・トロピカル・サイクロンへ分類しており、同機関の追跡資料ではマリーの活動期間を9月1日から8日としている。
確認作業では、名称だけでなく発生海域、識別番号、中心位置、最大風速、中心気圧を順番に照合すると判断しやすい。
発生海域が北西太平洋・南シナ海か東部北太平洋かを確認する
担当機関が気象庁か米国立ハリケーンセンターかを確認する
マリーの識別番号「EP132026」を照合する
最盛期の最大風速85ノットと最低中心気圧967hPaを確認する
9月8日03時UTCの45ノット、994hPaという弱化段階を確認する
9月8日15時UTCの35ノットと北緯25.8度・西経127.4度を確認する
気象庁の2026年台風位置表に「マリー」が存在するか確認する
フィリピン大気地球物理天文局の2026年命名表と照合する
日本、中国、フィリピンの沿岸警報をマリーの中心経路と照合する
9月8日15時UTC、マリーはポスト・トロピカル・サイクロンへ移行し、最大風速35ノット、中心位置は北緯25.8度・西経127.4度だった。


