台風トラミー(2420号)、ルソン島で洪水甚大-フィリピン・海南島・ベトナムを縦断した豪雨災害の全記録
2024年10月18日、台風トラミー(2420号)は北西太平洋のフィリピン東方海域で熱帯低気圧として発生した。
トラミーは10月26日前後に南シナ海で最盛期となり、中心気圧970ヘクトパスカル前後、最大風速約110~120キロメートル毎時の勢力に達した。
主な影響地域はフィリピン・ルソン島、中国海南島、ベトナム中部沿岸で、洪水や土砂災害、住宅被害が発生した。
フィリピンでは現地名「クリスティーン(Kristine)」として監視され、死者・行方不明者を含む多数の人的被害と広範囲の浸水被害が確認された。
発生日時と進路:トラミー、フィリピン東方で発生しルソン島へ接近
台風トラミーは2024年10月18日12時(協定世界時)、北緯13.2度、東経141.0度付近の北西太平洋で発生した。発生後は西へ進み、フィリピン東方海域を通過しながら発達した。
10月21日には熱帯低気圧として勢力を強め、翌10月22日には熱帯暴風雨へ発達した。この時点で中心気圧は994ヘクトパスカルまで低下し、最大風速は約64キロメートル毎時となった。
トラミーはその後も西北西へ進み、フィリピン北部ルソン島へ接近した。フィリピン気象庁(PAGASA)はトラミーを現地名「クリスティーン(Kristine)」として追跡し、ルソン島各地へ熱帯低気圧警報(TCWS)を発表した。
接近時にはルソン島の複数州で最高となる警報レベル「Signal No. 3」が発令され、住民への避難呼びかけや災害対策が進められた。10月24日、トラミーはルソン島を横断し、その日の午後には南シナ海へ進入した。
ルソン島通過時には台風中心付近の風だけでなく、広い範囲に広がった雨雲が影響を及ぼす要因となった。山間部や河川周辺では大雨による洪水や土砂災害の危険が高まり、各地域で救助活動と避難対応が行われた。
南シナ海で勢力を強めたトラミー、進路を南西へ転換
ルソン島を離れたトラミーは南シナ海中央部へ進み、海上で再び発達した。10月25日から26日にかけて勢力を強め、10月26日頃には最盛期を迎えた。
気象解析では、この時期のトラミーは中心気圧970ヘクトパスカル前後、最大風速約120キロメートル毎時(約65ノット)に達した。香港天文台の解析でも、南シナ海中央部で台風となり、中心付近の最大持続風速は約120キロメートル毎時とされた。
しかし、その後は南シナ海上空の鉛直方向の風の変化が強まり、台風構造の維持が難しくなった。トラミーは徐々に勢力を弱めながら南西方向へ進路を変え、ベトナム中部沿岸へ向かった。
香港周辺では10月25日から26日にかけてトラミーの外側の雨雲や風の影響が観測された。香港天文台は熱帯低気圧警報を発表し、10月26日には強風信号を発令した。トラミーは香港の南側約550キロ付近を通過し、香港では大きな直接被害は確認されなかった。
フィリピンと海南島で豪雨被害-各地の防災対応と被害規模
トラミーによる最大の被害はフィリピンで発生した。現地では「クリスティーン(Kristine)」の名称で警戒され、ルソン島を中心に猛烈な雨が降った。
洪水や土砂災害により、多数の死者・行方不明者が発生し、多くの住宅や道路、農地が被害を受けた。PAGASAや国家防災当局は、避難所の開設、救助活動、被災地域への支援を継続した。
中国南部では、トラミー本体と残存低気圧の影響で海南島を中心に大雨となった。香港天文台の報告によると、海南省瓊海市では10月26日から31日までの累積雨量が1243.1ミリに達した。
この大雨により海南島では洪水や土砂災害が発生し、10人が死亡、55万人以上が影響を受け、経済損失は約2億3000万元に達したと報告された。
中国南部沿岸では、台風による強風だけでなく、季節風との組み合わせによる降雨量の増加にも警戒が続いた。各地の防災機関は河川水位の監視や低地での浸水対策を実施した。
日本ではトラミーによる大きな直接被害は確認されなかったが、気象庁は2024年の台風資料としてトラミーの発生から消滅までの経路や勢力変化を記録している。
ベトナム中部に上陸後、熱帯低気圧に移行し消滅
トラミーは南シナ海を西へ進んだ後、10月27日にベトナム中部へ接近した。香港天文台の解析では、トラミーはトゥアティエン=フエ省、ダナン市、クアンナム省付近の沿岸地域へ進み、その後陸上で勢力を低下させた。
ベトナムでは大雨による住宅被害や洪水が発生し、少なくとも3人が死亡、1人が行方不明となり、290棟以上の住宅が被害を受けた。
10月28日にはトラミーは熱帯低気圧へ弱まり、10月29日12時(協定世界時)には北緯16.7度、東経109.5度付近で解析上消滅した。
トラミーは10月18日の発生から10月29日の消滅まで北西太平洋と南シナ海を移動し、最盛期には中心気圧970ヘクトパスカル前後、最大風速約120キロメートル毎時を記録した。気象庁及び香港天文台の解析によると、トラミーはフィリピン、海南島、ベトナム中部沿岸へ広範囲の降雨影響を残し、10月29日12時(協定世界時)に北緯16.7度、東経109.5度付近で解析上消滅した。


