2024年熱帯暴風バリジャット、日本の東方海上を北上し約11日間で温帯低気圧へ移行 北西太平洋の記録
2024年10月、北西太平洋で発生した熱帯暴風バリジャットは、日本の東方海上を北東へ進んだ熱帯低気圧システムでした。
気象庁の資料では、バリジャットは2024年台風第19号として扱われ、10月9日に熱帯低気圧から台風へ発達した後、北西太平洋上を移動しました。
10月10日には中心気圧985ヘクトパスカル、最大風速45ノット(約83キロメートル毎時)の勢力に達しました。
その後、バリジャットは10月10日夜から10月11日にかけて温帯低気圧へ移行し、北太平洋上で消滅しました。
10月4日に熱帯低気圧発生:フィリピン東方海域から始まった発達前段階
バリジャットの形成過程は、10月4日06時(協定世界時)に北西太平洋のフィリピン東方海域で確認された熱帯低気圧から始まりました。発生時の位置は北緯10.7度、東経149.5度付近で、中心気圧は1008ヘクトパスカル、最大風速は毎秒7.7メートルの弱い循環でした。
この段階ではまだ台風ではなく、熱帯低気圧として解析されていました。その後、システムは西太平洋上を北西から北東方向へ移動しながら発達を続け、10月5日には中心付近の循環が強まり、最大風速は毎秒12.9メートルまで上昇しました。
10月6日にはマリアナ諸島周辺の海域へ進み、同日21時には熱帯暴風へ発達しました。中心気圧は992ヘクトパスカルまで低下し、風速は毎秒19.5メートルに達しました。
この時点でバリジャットは、北西太平洋で発生する一般的な熱帯低気圧の発達過程をたどっていました。日本、中国、フィリピンなど東アジア沿海地域では、太平洋上の熱帯低気圧活動として衛星観測や進路解析の対象となりました。
10月9日に台風第19号へ発達:北西太平洋上で熱帯暴風の勢力を形成
バリジャットは10月8日に一時的に熱帯低気圧へ弱まりましたが、その後再び発達しました。10月9日12時には北緯29.8度、東経149.1度付近まで北上し、最大風速毎秒18.0メートルの熱帯暴風として再び観測されました。
気象庁ではこの段階のバリジャットを2024年台風第19号として分類しました。ただし、日本の台風分類における「台風」は熱帯低気圧のうち一定以上の最大風速を持つものを指し、バリジャットのピーク時の勢力は熱帯暴風クラスで推移しました。
10月10日09時には北緯35.6度、東経151.6度付近へ到達し、中心気圧は985ヘクトパスカル、最大風速は45ノット(約83キロメートル毎時)となりました。この数値は観測機関によって平均時間の定義が異なり、気象庁の10分平均風速では毎秒約21メートル相当として評価されています。
バリジャットは日本列島へ上陸する経路ではなく、日本の東方海上を北東へ進みました。しかし、東日本太平洋側の海域では、熱帯低気圧の接近に伴う海上の波や風の変化に注意が必要となり、船舶運航などでは最新の気象情報が利用されました。
10月10日に最大勢力到達:中心気圧985ヘクトパスカルで北東海上を通過
バリジャットは10月10日18時、北緯39.4度、東経154.0度付近で最盛期を迎えました。この時の中心気圧は985ヘクトパスカル、最大風速は45ノットで、熱帯暴風としての最大強度が記録されました。
発達のピークを迎えた時点でも、バリジャットの中心は日本本土から離れた太平洋上にありました。日本の沿岸部への直接上陸はなく、人的・物的被害の報告もありませんでした。しかし、広い海域では強風域を伴いながら北上しました。
熱帯低気圧は北上すると、周囲の偏西風や海洋環境の影響を受けて構造が変化します。バリジャットも低緯度海域で形成された暖気中心の構造から、中緯度の気圧配置に対応した形態へ変化していきました。
フィリピン周辺では、熱帯低気圧の発生域に近いため、発達初期から衛星画像や予報資料による監視が行われました。中国沿海部や日本周辺でも、西太平洋上の熱帯低気圧活動として気象情報が共有されました。
10月11日に温帯低気圧化:北緯44度付近で熱帯構造を失ったバリジャット
バリジャットは10月10日夜から10月11日にかけて温帯低気圧へ移行しました。10月11日06時には北緯44.8度、東経153.8度付近に位置し、熱帯暴風としての特徴を失い、温帯低気圧として解析されました。
温帯低気圧化によって、バリジャットは暖かい海面からエネルギーを得る熱帯低気圧の構造から、寒暖差による大気のエネルギーを利用する中緯度低気圧へ変化しました。
その後、システムは北太平洋を東へ進みながら衰弱しました。10月12日には北緯48度付近、10月13日には北緯50度を超える海域へ到達し、さらに高緯度海域へ移動しました。
10月15日12時、バリジャットは北緯48.6度、東経180.4度付近で観測上の消滅段階に入りました。発生前段階の熱帯低気圧形成から温帯低気圧化、消滅まで約11日間にわたり北西太平洋から北太平洋を移動した熱帯システムとして記録されました。


